歯周病治療
歯周病とは?
歯周病は静かに進行します。
近年、TV等でよく
耳にする、「歯周病」とは
いったいどんな病気
なのでしょうか。
正しい知識を身につけて、
歯周病から大切な歯を
守りましょう。
私たちは日頃、物を食べるだけではなく、呼吸をしたり、おしゃべりをしたりと、常にさまざまなことにお口を使っています。
しかし、歯周病はほとんど自覚症状が出ないまま進行するため、気が付かないことが多いのです。そのため、はれや痛みなどの症状が出た時には、すでに深い歯周ポケットができて進んだ状態になっていることが少なくありません。
したがいまして歯周病は別名「サイレントデイジーズ」とも呼ばれ、知らないあいだに静かに病気が進んでいきます。近頃TVなどでよく耳にする歯周病ですが、意外とどんな病気か知らない方が多いようです。歯周病を理解していただき、しっかりと対策をとられることをおすすめします。
歯周病とは
歯周病とは『歯の周りの病気』です。
歯の周りには、歯肉や、歯を支える歯槽骨があります。それらが細菌によってゆっくりと破壊されていく病気です。
健康な歯肉 | 歯肉炎 | 歯周炎 | 重度歯周炎 |
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歯肉の縁から歯槽骨の頂上までの深さ(歯周ポケット)が3mm以下でひきしまっています。 |
歯周ポケットが、4mm以上で、歯肉が赤く腫れ、出血しやすい状態です。お口の中を清潔にしておくことで治ります。 |
進行した状態の歯周病です。歯槽骨が破壊され始めます。 |
歯槽骨が破壊されウミが出てきたりし、歯を支えることが困難になってきます。 |
歯周病の影響~歯周病~
歯を失う原因
15~24歳までの歯の喪失原因は虫歯が主ですが、全体としてみると歯周病が歯の喪失の主な原因なのです。
全身への影響
最近の研究で口の中の細菌が血流内に入り込み、体内をめぐることが明らかになってきました。 歯だけの問題ではなく、全身疾患とも関係している事がわかってきました。
中度から重度の歯周炎が全身へ及ぼしうる影響
次にあげる疾患が歯周病によって、かかる確率が増えるといわれています。
- 脳卒中:2倍
- 慢性呼吸器疾患:2~5倍
- (肺炎など)
- 冠動脈疾患:2倍
- (心筋梗塞など)
- 低体重児出産:4~7倍
- 糖尿病:2~4倍
歯周病治療の流れ~歯周病~
(フラップ手術・エムドゲイン治療)
エムドゲインとは?~中・重度歯周炎の治療~
エムドゲインとは?
エムドゲインゲルは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しいブタ歯胚組織使用
歯周組織再生用材料です。エムドゲインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするたん白質の一種です。
現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若ブタの歯胚から抽出精製したもので、2005年5月現在、世界39ヶ国で使用されています。
エムドゲインを使用する利点
- 歯周病で失われた骨を再生することができます。
- 歯根を支える骨が増えることにより、歯の動揺が改善します。
- 手術時に余分に歯肉を取られなくてすみます。
- 歯周病の再発率が低くなります。
エムドゲインゲルを使った治療法
手術の前に
手術の前に 歯周組織の状態を調べるために、歯周ポケットの深さを計ったり、レントゲンを撮ったり、その他治療に必要な検査を行います。
エムドゲインゲルを使った治療が行えるかどうかは、歯周病の程度や患者さんの健康状態によっても 異なりますので、担当医とよく相談して下さい。
歯科外科手術
手術は麻酔をかけて行います。まず最初に治療する部分の歯肉を切開し、剥離します。
次に歯根表面の清掃を行い、エムドゲインゲルを塗布します。
最後に切開した歯肉部分を縫合し、手術は終了です。
手術にかかる時間は約45分前後で、手術後、日常生活はできますが、当日は飲酒や激しい運動、入浴は避けていただいております。
しばらく休んでいただいた後は帰宅できます。
抜糸は手術日から7~10日後に行います。
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歯周ポケットの測定
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歯肉の切開
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歯肉の剥離
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歯根表面の清掃
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エムドゲインゲル の塗布
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縫合
手術後の注意点
- 手術創は速やかに治癒しますが、手術部分の歯みがき等は担当医の指示に従って下さい。
また、指や舌で手術部分を触らないで下さい。 - 手術後の感染を防ぐために、術後3~6週間は、消毒薬で口の中をよく洗浄するようにします。
抗生物質が処方された場合は、担当医の指示に従って服用して下さい。
歯周病Q&A
- 歯周病が進行すると、「骨が溶ける」と聞きました。これはどういうことですか?
- 歯周病は歯の周りの歯を支える組織がなくなっていく病気です。
歯周病の原因菌が歯の周りの組織を破壊し、炎症が長引くと、歯の根を取り囲んでいる歯槽骨という骨にも影響が及びます。すると、周辺に骨を溶かす作用を持つ破骨細胞や、病原菌の出す毒素などが増え、歯槽骨を溶かしてしまいます。
歯槽骨が溶けると、歯の支えがなくなるので、歯が揺れてきて、そのまま放置すると自然に歯が抜けてしまうことになります。
- 喫煙が歯周病を悪化させると聞きました。どんな影響がありますか?
- 1日の喫煙本数と喫煙年数が歯周病の進行度に比例することがわかっています。その原因のひとつは、煙の中のタールなどのヤニが歯の表面について黒く着色し、歯の表面がザラザラになり、むし歯や歯周病の原因のプラーク(歯垢)がたまりやすくなるためです。また、煙の中のニコチンは歯ぐきや粘膜から吸収され、毛細血管を収縮させて血の巡りを悪くし、免疫を担う細胞や傷口を治す細胞の働きをくるわせます。その為、歯周病の治療をしても治りにくくなってしまいます。
副流煙の中の有害物質の量は主流煙より何倍も高く、歯周病にもなんらかの影響を与えていると考えられます。
- PMTCをすすめられましたが、あまりすると歯ぐきに悪いと聞きました。
- 適切なPMTCであれば、歯ぐきに悪いどころかどんどん健康になっていきます。PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士の専門家による機械的歯面清掃のことをいいます。歯ブラシでは落としきれないプラーク(バイオフィルム)を、いろいろな機械・器具を使って徹底的に落として、きれいな歯面に仕上げていきます。
自分自身で毎日行うブラッシング(セルフケア)に加えて、定期的なPMTC(プロフェッショナルケア)を組み合わせることが、自分のお口の健康そして全身の健康を維持することにつながります。
- 歯をみがくとすぐに血が出ます。そのまま歯みがきを続けて良いのでしょうか?
- 歯ぐきに炎症があるため、歯ぐきが出血しやすくなっていることが考えられます。歯ぐきの炎症はみがき残しのある場所にプラーク(歯垢)がたまり、その中の微生物(ばい菌)がからだの中に入り込もうとするのを防御しようとする炎症反応なのです。そのため、丁寧に磨いてプラークを毎日きちんと落とさないと、炎症が進んでしまいます。
歯ブラシの毛先をそっと当てて、磨いてみて下さい。最初は血が出ても、何日間か磨くと出なくなってきます。歯ぐきも赤く腫れた状態から引き締まったピンク色に変わっていくでしょう。
- 歯周病には自覚症状がないそうですが、歯周病かどうかを自分で調べる方法があったら教えて下さい
- 歯周病に自覚症状がないというのは正確ではありません。
むし歯が進んだ時のように痛みなどをはっきり感じる機会が少なく、見過ごしてしまう場合が多いのです。
まず、歯ぐきが赤くなり、歯ブラシを当てた時に出血しやすくなります。さらに進むと、歯ぐきが後退し始め、歯と歯の間に隙間ができてきます。そのまま進むと、歯を支えている骨が溶け始め、歯に揺れが出てきます。それに伴い、膿が出てきて口臭がひどくなったりしてきます。
小さなサインを見逃さず、早めに対処しましょう
- 年齢を重ねるにつれ、歯と歯の間に隙間が出てくるのは歯ぐきが関係していますか?防ぐ方法や対処方法はありますか?
- 歯ぐきは骨にのっています。隙間ができてくるのは、骨が吸収(さがっていく)からです。
骨が下がれば、歯ぐきも下がって三角形の隙間が大きくなります。
骨が吸収するのは加齢現象である程度仕方のないことですが、歯周病は特に歯と歯の間からなっていくことが多いので歯ブラシ意外にも歯間ブラシ、フロスをしていった方がいいと思います。